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道具のこだわり(私の選び方) |
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◆山の道具選び◆ |
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冬山登山では道具選びは重要です。
しかし登山用品店に行くと陳列されている商品は実に種類も多く用途も多彩、一体どれを買っていいか分からなくなってしまいます。
そんな時、種類の多い登山用品から私が選ぶときの基準や着眼点をここではお話したいと思います。
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◆冬用アウターの選び方◆ |
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冬用のアウターを選ぶときに私がまず注目するのはまずその利用目的です。
つまり雪山登山、バリエーション、アイスクライミングなどの登山形態、また日帰り、小屋泊、テント泊と言うところにも注目します.
また季節も重要です。1月の山と3月の山では気候が違います。
日本海側の山と八ヶ岳ではまるで雪質が違います。
基本的には日本海側は湿った雪、八ヶ岳は非常に乾燥した雪質です。
これらすべてを念頭に入れてアウターを選ぶのは非常に難しいと言うのが本音でしょう。
私は登山の形態に合わせてジャケットを使い分ける事がよくあります。
しかし、一般の登山をされる方がそんなにジャケットをいろいろと購入するとお金がかかり過ぎて、山へ行くお金がなくなってしまうと大変です。
やはり一番よいのは幅広い登山にあったアウターです。
では一体どのようなアウターが使えるのでしょうか。
シンプル is best!
私は仕事も含めてクライミングをする機会が非常に多いので、胸の周りがすっきりしたものを選びます。
理由は胸の部分にポケットなどが多いとクライミング時に足元を見るとポケット部分にふくらみを感じ見づらいからです。
また衣類と言うのは裁縫部分が減れば減った分だけ軽くなります。
将来、バリエーションやアイスクライミングなんて絶対しないと言う方は構いませんが、もし将来そういったクライミングもやってみたいと考えておられる方は胸元すっきりタイプをお勧めします。
小さいフードは凍傷のもと
アウター購入時に最も重要なひとつがこのフード。
冬山の強風は下界の風とは比べものになりません。一般的に山での風速1メートルは体感温度でマイナス1度と言われます。
フードを被って顔の前面部分が出るようなら購入は控えた方が無難です。顔を出した状態での雪山の縦走はまさに凍傷になりに行くようなもの。
顔の前面を覆ってくれるものがベストです。
バリエーションやアイスクライミングなど雪山でのクライミングを思考している人はヘルメットを被った状態でフードを被り無理なく頭を動かせる事ができればOKでしょう。
しかし残念ながら最近のフードの主流はタイトなものばかり、見た目はかっこいいですが、厳しい北アルプスの稜線上ではもう少し大き目のものの方が機能的に思えます。
ソフトシェルとハードシェル
ハードシェルはストレッチ性があって、透湿性もあります。しかしソフトシェルほどのストレッチ性や透湿性はありません。
その反面、最近人気となっているソフトシェルは非常にストレッチ性があってアイスクライミングなどアクティブな運動には非常に有効でかつハードシェル以上に透湿性もあるので汗ばみにくいと言う利点があります。
しかし私が最もよく使っているのがハードシェル素材。
透湿性はソフトシェルの方が格段にいいです。しかし透湿性に優れていると言う事は裏を返せば濡れに弱く、強風では寒いとも言えます。
過去に友人とアイスクライミングに行った際、ちょっとしたシャーワークライミングになったとき友人のソフトシェルはあっという間に中の衣類まで水を通してしまいました(私のハードシェルは大丈夫でした。)。
ソフトシェルはあくまでも濡れが想定されづらい状況の中では有効ですが、濡れる可能がある場合はあまりお勧めできません。
雪山なら気温も低いので問題ないのでは?とお考えになる方もおられるかもしれません。
確かに八ヶ岳や北アルプスの稜線上では冬に濡れる事は想定しづらいです。しかし12月や3月の雪山ではアプローチの段階でみぞれや雨、その後標高が上がるにつれて雪になるパターンはよくあります。
一度濡れてしまうと小屋で乾かさないとなかなか乾きません。
できれば冬山ではそんな不確定要素は省いておきたいものです。
ましてや高価なアウターを一着だけ購入するなら、より安心できる機能を備えたものを購入した方がよいでしょう。
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◆冬用手袋の選び方◆ |
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手袋を選ぶときに私が最も気をつけていることは登山目的、山域、季節です。
利用目的が違えば使う手袋もこまめに変えます。
八ヶ岳や小屋をベースに出かける山では操作性に優れた革製品が主体、日本海側など湿雪で3泊4日以上、テントを担いでの山行を行う場合はオーバーグローブを持っていきます。
登山目的や山域、季節に合わせて手袋は使い分けるようにしています。
【私の選び方】
八ヶ岳・一般登山
(小屋泊の場合) |
オーバーグローブと革製品特にこだわりなし、でもどちらかと言うと操作性に優れた革製品。
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一般登山
(テント泊) |
3泊4日以上の山行の場合はオーバーグローブ
*革製品の場合、濡れるとテント泊では完全に乾かす事は難しい。
*クライミングがある場合は革製品も考慮に入れますが、ルートの難易度によります。
*2泊3日程度なら革製品も持って行きますが、緊急時のビバークや途中行動が長引いた場合など、非常時のことを考慮に入れると、革だけでは少し心配です。
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八ヶ岳・バリエーション
(テント泊) |
皮手袋(予備も持参)
岩登りやアックスを使ってのクライミングの場合はグリップ力のある皮手袋のほうが使いやすい。
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八ヶ岳・バリエーション
(小屋泊) |
同上 |
◆皮手袋の利点と欠点
利点
・手のひらが革製品なのでグリップ力があります。アイスクライミングなどには有効です。
・指先が細くなっているタイプのものは手先の作業がしやすく、カラビナやロープ操作では比較的ストレスを感じません。
・岩登りのときも二重のオーバーグローブよりも岩を持ちやすい。
欠点
・革製品は一度水分を含むと乾かすのに非常に時間がかかります。
テント山行では乾かすのに非常に時間がかかり、かつ燃料も必要となります。日本海や小春日和で雪がベチャベチャしている時など、一度吸水してしまった革を完全に乾かすのは無理だと思います。
・革製品の中でも、指先が細い作りのものは山の稜線上ではオーバーグローブよりも冷えやすいでしょう。
◆オーバーグローブの利点と欠点
利点
・革製品よりも薄い作りの分、乾きやすい。
・作りが比較的大きく、指先も大きく作ってあるので3レイヤーにしたりいろいろな工夫ができる。
欠点
・薄いつくりの分、岩登りなどに使うと革製品よりもへたりやすい。
・革製品よりグリップ力が劣る
・指先の作りが大きい分、手先の作業がしづらい。
2006年、インドヒマラヤに遠征へ出かけました。
その際は皮の手袋とオーバーグローブを持って登りました。
理由は上記に記したとおり、使用目的の違いを考慮したものです。
壁でのクライミング中は操作性に優れた革製品のグローブを使用しました。
初日、二日目の午後までは問題なく使えました。
日中は比較的暖かく、そこまでは皮の手袋(*この時は新品の皮の手袋にさらにメンテナンスを加えました。)でも問題ありませんでした。
しかし二日目ともなるといかに新品でも少しずつ劣化し革に水分が浸透していきます。
そして二日目の夕方、日陰となり天候も下り坂になると一気に革の手袋は水分を含んだ状態から凍りつき、カチカチに凍りつきました。
もちろんその夜に乾かせればよいですが、ビバーク時などガスの量も少なく、水分を含んだ革を乾かすのは至難の業です。
結局、この段階で革の手袋はお役御免となりました。
三日目、壁を越えて稜線上に出て主峰を目指しました。稜線上は想像していたとおりの強風と冷え、ここで大き目の三本指のオーバーグローブと暖かなインナーグローブを使用しました。
おそらくこの状況では操作性に優れた指先の細い革製品は不適だったと思います。
ここまで多くを書きましたが、結局のところ手袋に万能はないということです。
革には長所があり、オーバーグローブにはオーバーグローブの長所がある。
まず着目するのはあくまでも使用目的、山域、標高、宿泊形態など山における全ての状況です。
それらを考慮した上で、最大限手袋の性能を生かし適材適所で使い分けた方がいいでしょう。
*もし出かける際に迷ったら、お気軽にご相談下さい。
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◆冬山の衣類◆ |
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◆下着
冬山ではアウターや中間着ももちろん大事ですが、私が最もこだわるのは下着です。
私が下着を購入する際に着目する点は下記の点です。
・速乾性であること
冬山で気温が低い分、重ね着をします。そうすると行動中は意外と汗を掻いたりするものです。ですから山では乾き易い速乾性のものがいいのです。
・保温力のあるもの
・体にフィットしている事
下着が大きいと何だか体がスースーして寒さを感じる時があります。また窮屈だと不快です。体に丁度合ったものがベストです。
・ジッパーなどの裁縫部分が体に擦れず、着心地が良い事
いくら素晴らしい製品でも着てみると裁縫処理が雑で、体に擦れて非常に不快だったと言う経験が私にはあります。登山用品店で下着を試着する事は難しいかもしれませんが、ジッパー部分など裁縫処理が丁寧にされているか注意して下さい。
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◆スパッツ◆ |
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私の今までの使用経験で最も使いやすかったのは「OR」のスパッツ。
ほとんどのスパッツはジッパー式ですが、こちらはマジックテープで接続と言う手軽さ。
ジッパー式だと寒い時など使用するのに細かい作業がやりづらいですが、これならマジックテープなのであっという間に着脱できます。
またマジックテープ部分が凍りついたら機能しなくなると思われがちですが、私の経験上機能不全になった事はありません。
*ブログでもこの事について書いています。ご覧下さい。
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