山岳ガイド 岡田康
       














登山の装備

ダブルアックス

 
バリエーションをダブルアックスで登る
 
 冬のバリエーションは、ダブルアックスを使用してご案内しております。

 八ヶ岳のバリエーションは、たいていシングルアックスで十分登れます。
 しかし、私はアクッスをニ本持って、ガイドしています。
 なぜか?
 混雑によるルートの順番待ちで体が冷えたり、いつ登れるかも分からない状況を回避するため、ルートを外して登ることがあるからです。
 ルートを外すとなると、決まって順番待ちが起きるのと同レベルのミックス壁が現れます。
 そこを確実に登る手助けをしてくれるのが所謂「ダブルアックス」なのです。 
 シングルアックスでは難しい壁やラインもダブルアックスなら登れる。そうダブルアックスにすることで、山での活動範囲を広げているのです。

 八ヶ岳のバリエーションを登る時、多くの方はトポに記載されたルートを忠実に辿ります。
 週末は、多くのクライマーが同じルートを辿るので、どのルートでも順番待ちが発生します。
 岩場で、フリークライミングルートを順番待ちすることは、耐えれないものではございません。
 しかし、寒風吹きすさぶ状況下で、いつ終わるとも分からないルートの順番待ちは、低体温症や凍傷の危険が付き纏います。
 赤岳主稜にしろ中山尾根、石尊稜、阿弥陀北西稜など、どのルートもトポに記載されたラインを忠実に辿ることに拘らなければ、少しラインを外せば、どこからでも登って行く事ができます。
 その時に、不安定な未知のミックス壁を登る手助けをしてくれるのが、ダブルアックスなのです。
 雪や氷の付いた岩や草付、掴みどころの無いミックス壁では、ダブルアックスは「神の手」のような存在。シングルアックスで登るよりも遥かに安定し確実に登ることができます。もちろんそれはお客様も同様でしょう。
 
 
 混んでいるなと見たら私はラインに拘らず、違う壁を登ってお客様をご案内する時がございます。
 山の大きな壁の中にあって、そこに雪が付き、氷が張ればどこでも登ることができるのです。
 雪のバリエーションと言うのは、まさにそこが魅力。
 大きな山の中で、私たちは限りなく自由です。
 「そのラインに出てくるそのムーブ」に拘りがなければ、山を大きく捉え、雪が付いている事、氷が張ってる事をアドバンテージにして、自由にラインを見出し、経験や技術に合わせて登るラインを決めて頂を目指す。
 それが雪山バリエーションの魅力であることも知って頂きたい。
 

昔は・・・

 昔は、冬壁で岩が出てくると、雪の付いた岩を手袋で掴んで登ることがよくありました。
 しかし、最近は雪の付いた掴みどころの無い岩もアックスのピック部分を引っ掛けて、登ることが主流です。
 手袋で掴めないような岩角も上手くアックスのピックをきかせる事ができれば、大胆にムーブを組み立てることも可能です。そして昔のように岩を手袋で掴まない分、手袋の消耗も極端に減少します。
 八ヶ岳のバリエーションは、たいていシングルアックスでも登れます。
 しかし、積極的にダブルアックスを使い、その効果と有効性を理解し、上手く使いこなすことができれば、確実に世界は広がります。
 




アイゼンバンド(ワカンバンドも同じ)を容易に締める方法

 
アイゼンバンド(ワカンのバンドも同じ)を容易に締める方法
 
 冬、厚手の手袋をしてアイゼンを装着する時、アイゼンは靴に簡単に収まっても、バンドを締める時、あるいは余分なバンドを縛る時、どうにも上手く行かず、イライラした経験は誰しもあるはずです。
 
 それを解消してくれるのがこの方法。
 アイゼンバンドの先端部分の約4〜5センチに、瞬間接着剤(100円ショップでも売ってます。)を両面に塗り付けます。するとアイゼンバンドの先端部分は、硬くなり手袋をしても容易にバンドを通すことができるようになるのです。

 言うなれば、針の穴に柔らかい糸を通すのは困難だけれど、硬い針や針金なら容易に通す事ができます。その原理です。
 ミトンの手袋をしていても、簡単にバンドを通せます。もうあのイライラとは決別です。
 
 *本来は、最初からメーカーが、先端部分を硬くしてくれていればいいだけの話なのですが。




ネオプレン素材の靴下

 
靴の中が濡れ難かった
 
 黒部横断(16日間の山行)で使用した靴下は、ネオプレン素材で作られた靴下1セットのみでした。(ネオプレン素材と言うのは、スキューバダイビングで使用するウエットスーツの素材と言えばお分かりになるでしょうか)
 しかし、これはあくまでも行動中のお話です。就寝時には、ウールの靴下を履いて眠りました。
 
 最初の一週間は、靴の中が乾いた状態を保つことができました。もしウールの靴下を同じように使用していたなら、初日最初の一時間で濡れていました。
 濡れていたと言うのはもちろん私の発する汗によってですが、ネオプレン素材を使用していても当然汗は掻きます。しかし、ネオプレン素材の靴下の内側(足側)は濡れても、靴側までは濡れることがありませんでした。だから乾いた状態を保つことができたのです。
 ただ日を重ねるうちに、インナーの靴は次第に濡れていきましたが、それでも普段使用するウールの靴下に比べると遥かに靴の中が乾いた状態を保つことができ、快適だったと言えます。
 結局、16日間の登山を終えて使用した靴下は、この1セットのみでした。
 


 ネオプレンはクロロプレーンゴムとも言われ、水や風を通さず、またゴム内部に気泡を入れ込むことによって熱伝導率を落とし断熱効果を高めているそうです。また柔らかい素材でありながら耐久性もあります。ただ火気には弱く、直射日光で変色することもあるそうです。
 
   詳しく説明の書かれたサイトがありました。参考にしてみて下さい。
   ⇒http://www.heritage-jp.com/s_01_2.html
 

ネオプレン靴下を使用しての感想

 ・内側は濡れても外側は濡れ難かった。ウール素材など、普段雪山で使う靴下と比べると格段に、靴の裏側をドライに保つことができた。
 ・使用後、ちょっと臭い。
 ・ネオプレン素材とウールの靴下を乾いた状態で履いたら、ウールの靴下の方が暖かく感じます。就寝時は、ウールの靴下を使用。
 ・靴下の内側が濡れた状態の時は、ネオプレーン素材の方が、暖かく感じました。
 ・素材が滑りやすいので、何となくこれなら靴擦れもあまりしないと感じました。
 ・素材は滑りやすいですが、靴の中で違和感を感じたことはありません。
 ・濡れた靴下の内側は、使い終わるとテント内で裏返しにして履き、乾かしました。毎朝履く時には、乾いた状態で履くことができ快適でした。


ノースフェイスから登山靴用のネオプレン靴下が登場

 
ノースフェイスから登山用のネオプレン靴下が販売されるそうです。

  詳しくは ⇒ http://goldwinwebstore.jp/shop/ProductDetail.aspx?sku=NN81230_TR_25&CD=SS120373&WKCD=SS120369 



安全の対価

 
登山商品
 

 登山で使う商品をご購入の際、価格差で迷うことはよくあるはずです。
 そして迷った末に、装備にどれほどの差があるのか分からないけれど、とりあえず高価な方を買った経験が誰しもあるはずです。
 
 きっと誰しも「高かろう良かろう、安かろう悪かろう」と言う思いがあるからです。
 そしてその言葉が登山になると「高かろう安全、安かろう危険」になってしまっているのです。
 それは、あながち間違いではありません。。ただし、全てが全てそこに当てはまる訳でもないのです。

 登山装備を購入する基準が、価格よりも「安全」が大きな指標のひとつになっています。
 言うなれば「命の対価」といっても過言ではないでしょう。
 「安全」をひとつのスローガンに掲げて登山商品は、売られているのです。
 登山は「遊び」、「スポーツ」、「情熱を捧げる対象」と人それぞれ受け止め方に違いはあっても、この行為を行う人間には、命の危険がいつも付き纏うのです。
 装備が厳冬期の山のように特殊な環境に適応し機能的に作られている以上、高価であることは当然の事でもあります。

 
 しかし、それは
あくまでも値段に見合った「装備」に限られます
 
高価であるのに、まるで山では使えない装備は、不当な価格であるだけでなく「命」に対してとても不誠実です


 正直なところ「安全な登山装備」としては、売って欲しくないのです。
 命の危険が付き纏う以上、それ相応のものを作り、そして売って欲しい。
 
 特に雪山の装備に関しては、衣類や装備など全てのものが高価です。何度も買い換えるようなことはできません。
 だからまず第一に、厳しい環境下でも使用に耐え得るもの、信頼のおける商品を作ってもらいたい。
 もしそれができないようなら、登山装備の多くも大量生産で安く作られた物に取って代わる時代もそう遠くは無いはずです。
 多くの人がブームによって登山を始め、そしてそれが高価であるのに、厳しい自然環境下で使用する商品として適していないと分かれば、少しぐらい山で使い難くても安い方を購入するのは、消費者として当然の流れだからです。

 良いものが、適正な価格で売られる。何事においても、やはりそれが一番いいはずです。



わかん

 
つま先が反り上がったワカン
 

 最近はつま先の反り上がったワカンが主流となりつつあるようですね。
 
 私が愛用しているのは旧型、つま先が真っ直ぐのストレートタイプ、平べったい旧型のワカンです。
 できれば反り上がったものよりも、ストレートタイプを使用したい。
 なぜならワカンもアイゼンと同様、雪面に蹴り込んで登ることが頻繁にあるからです。
 その際につま先が反り上がっていては、蹴り込んだ際にワカンがずれるような感覚になるのではないでしょうか。
 スノーシューをワカンのように固定して、蹴り込めるタイプのものを使用した経験のある方ならお分かりでしょう。
 スノーシューもその特性から多くのものはつま先が反り上がっておりますが、蹴り込んだ際決まって、目標としていたポイントよりもつま先が反り上がっている分、上に反り上がるような感じで蹴り込む事になるのです。
 あるいは急な雪面の斜面で、蹴り込んで足場を踏み固める際、つま先が反り上がっている分、足場から足が滑り落ちるように足がずれるのではないかと懸念してします。
 平坦なところや緩やかな斜面なら問題ないように感じるのですが、急な雪面ではちょっと??です。
 逆にストレートタイプのものは、急な斜面でも真っ直ぐにワカンが雪面に入っていくので、蹴り込みも安定して狙ったところに入ります。ストレートで問題を感じたことは一度もございません。

 先日私は、ワカンを買い換えようとお店に行くとつま先の反り上がったものしかありませんでした。困惑していたところ、ひとつだけ製作するのは難しいが、まとまった数で注文するとできるよ、と言う回答を頂き、友人を誘い、そしてお店の方々のご理解を頂いてストレートタイプを作ってもらいました。(ワカン製作:エキスパートオブジャンパン、取り扱い:カモシカスポーツ松本店の皆さん、本当にありがとうございました。)



かたい止水ジッパー  

 
かたい止水ジッパーにはご用心
 

 最近、冬用のアウターには、止水ジッパーを使ったものが主流となっています。

 この止水ジッパー、名前の通り優れもので防水性は以前のものと比べると良くなりました。
 しかい、それに伴い難点もあります。
 強風の時に、アウターのフードを被り止水ジッパーを上まで上げた状態にしていると吐息で凍り付いてきて、ジッパーが硬くなり上げ下げが困難になります。深い雪でラッセルしている時にジッパーに雪が付着して、その後、凍り付くのも同様です。
 
 防水性を持たせるために緻密な作りになるのは良いのですが、いかんせん硬過ぎるのです。
 お店で試着する時に、硬いと感じるアウターは、決まって凍りつくと上げ下ろしがものすごく困難になります。
 雪山経験者には、止水ジッパーが硬過ぎると感じた人は多いはずです。特に長期テント泊で山に入られる方にそう感じる傾向が多いのではないでしょうか。
 中には、あまりのかたさにジッパーに付いている紐を引きちぎってしまっても尚、上げ下ろしができなかったと言う人も要るほどです。
 ジッパーの上げ下ろしは、強風の際、フードを被り速やかにジッパーを上げたくなります。
 現代のアウターは、フードとジッパーは、一連の作りとなっており、フードを被ってジッパーを上げることで、初めてフードの機能を発揮するからです。
 
 アウターをご購入の際は、フード被って顔全体を覆うことをまず確認(この時に、ジッパーが下がっていては意味がありません。)ジッパーをしっかり上まで上げて顔全体を覆っていることをご確認下さい。
 そしてそのジッパーが、硬くなければ◎です。
 


アックスのトリガーについて  

 
 
アックスのトリガーについて
 

 アックスのトリガーについてのお話です。

 よくお客様から冬山でもトリガーを付けて(石突が突き難くなるが)山を登るのですか?と言う質問を頂きます。
 それに関する私の考えです。

 上の写真左:アックスの石突部分にトリガーを付けたアックス   写真右:ノーマルタイプ

 
使い分けのポイント

・山を登る時の核心部分がどこなのかがポイントです。技術的に難しいクライミングが核心の時は、トリガー付きのものを使用し、技術的にそれほど困難さはなく雪稜や雪の斜面の歩きが多いときはノーマルタイプを使用しています。
(注)上記のような使い分けは、あくまでも個人の技術レベルに合わせる必要があります。

 ≪例≫
・黒部横断は、トリガーなしでクォークを使用。 
・日本や海外の壁を登って、その後に歩いて山頂に行く必要のある山では、トリガー付きアックスを使用。


特徴
 ・トリガー付きのものは、歩行時に雪面に突くと滑ったり、アックスを雪面に突き刺す時に、非常に突き刺し難かったりします。
 ・ノーマルタイプの方が、クライミング要素の少ない雪山歩きの時は、使い易いです。




目出帽 (バルクラバ)  

 
 
目出帽 (バルクラバ)
 

 目出帽のお話です。

 上の写真左:切れ込みのあるもの   写真右:丸型のもの

 もし今、私が買うならどちらを購入するか?と問われれば、私は左の切れ込みのある方を選択します。
  

特徴:切れ込みのあるもの
 ・目出帽の上げ下ろしが容易。(鼻と口の部分を容易に上げ下ろしできる。)
 ・上げ下ろしの際に、瞼(視界)へのストレスがない。


特徴:丸型のもの
 ・目出帽の上げ下ろしの際、口の下まで下ろすと、丸型が楕円状になって縦に伸びる分、横幅の広がりが不十分になり、瞼へのストレスを感じる。視界が見えづらくなることもある。
 ・頭の大きさや髪型によっては、その欠点が顕著に出るケースもあります。
 ・長期山行で、顔が浮腫んでくると、より違和感を覚えます。


 
丸型のバルクラバに関しては、全てが全て、上記のようになるとは限りませんが、ご購入前に、必ず試着してみて下さい。
 バルクラバの開口部を口の下まで下ろす事のできないもの、あるいはそれによって視界が狭められるものは、冬山では不便です。


ウィンドストッパーを使ったバルクラバには注意して下さい。
 
・部分的にウィンドストッパーを使用したバルクラバは、特に問題ないのですが、バルクラバの生地全てで、ウィンドストッパーを使用したものの中には、開口部を容易に口の下まで下ろす事ができないものがあります。
 

実際にウィンドストッパー素材のもの(写真右)を試してみました。
 ウィンドストッパー素材でできたバルクラバを八ヶ岳の赤岳(2月)で使用してみました。
 その感想です。
 
 ・布地のバルクラバと比較して暖かい。
 ・下山時、アウターのフードをしても正面から風と雪を受ける状況でした。布素材のものと比較して風を通さない分、格段に暖かかったです。
 ・布地のものは、ずっと使用していると口や鼻の部分が、吐息の影響で次第に布地が凍り付いてきます。強風や低温の時などは、瞼の下まで上げますが、凍り付いた布地が頬にあたって冷たいと言う経験はありますが、今回はそれがありませんでした。
 ・生地のごわつき感が気持ち悪かった。
 ・呼吸口に穴が開いていたのですが、素材が素材だけに呼吸し難かった。

<まとめ>


 
バルクラバにウィンドストッパー素材を使用するのは、ありだと思いました。防風性があってもいい。

 布地のものを使用している時、口や鼻の部分が凍りつき、頬が冷たいと言う経験はよくあります。特に正面から風を受ける時やアウターのフードで顔を横風から保護していても、北アルプスなど長時間稜線で行動しているとやはり冷たい。
 この前の黒部横断がまさにそうでした。

 バルクラバに、防風性があってもいい。
 もちろんアウターのフードを被りますが、フードに開口部がある以上、顔を覆うものも風を通しやすい布一枚より、風を通し難い素材のものの方がやはり暖かい。

 八ヶ岳登山のような強風にさらされる時間の短い山では、布地でもいい。
 しかし、北アルプスなど、長い縦走を目的とした登山では、ウィンドスッパー素材のものもありです。
 ただ、裁縫方法や開口部のつくり、呼吸口、生地のごわつきなど、入念にチェックしてから使用を検討した方が良さそうです。
 今回私が使用したウィンドストッパー素材のバルクラバは、長期ではちょっと使えません。生地のごわつきがあまりに不快だったからです。

 もう少し試してみます。
 部分的に、ウィンドストッパーを使用したバルクラバも良さそうですね。



登山で最も大切なもの  

 
 
登山やクライミングで最も大切なもの
 

 日本で登る時、海外で登る時、私にはいつも目標を同じにする仲間がいます。
 
 ヨセミテでビッグウォールを登った後に、履くズボンが無くて、大韓航空のブランケットをスカートにして、テントサイトを闊歩する者、「それ何年前の雨合羽ですか?」と問いたくなるような今はあり得ない単色赤のヤッケを纏い、インナー手袋は軍手で冬の富士山で強力をする者、クライマーがたくさん集まる人気の岩場で、首に手ぬぐいをした状態で登る者、足をどこから通していいのか分からない程、原形を留めないビリビリに破れたタイツを履いて冬山でアルパインをする者、軽量化のためにジャージを履き、トレッキングシューズに無理矢理アイゼンを付けて真冬にドライツーリングをする者、そして黒部横断にゼビオで買ったフリースとイーオンで買った化繊のジャケットを持ってきて「これ山用より暖かいですよ。」と真顔で勧める者など、話を出せばもうきりが無い程、私の周りには、服装とか格好なんて、意にも介さない連中ばかりです。  (今でこそ、皆きれいな格好をしていますが。)
 彼らもまた登ることができれば、何だっていいのです。
 
 山やクライミングをどうしようもなく愛してしまった人たち。
 そしてどこまでも真剣に山やクライミングに向き合う人たちです。
 
 私の山登りやクライミングは、そんな彼らの影響を受け、そして支えられてここまでやって来ました。
 
 山登りやクライミングの行為そのものも、もちろん好きだけれど、もしかしたらそれ以上に、彼らと登ることが好きなのかも知れません。

 山登りやクライミングをする仲間、それは私にとって、一生の宝です。



登山で一番大切なもの  

 
 
登山やクライミングで一番大切なもの
 

 私にとって、初めてのクライミングツアーはアメリカのヨセミテでした。
 その時、私のクライミングの服装はと言えば、下は学生時代のジャージ、上は破れたノースのTシャツでした。
 上の破れたTシャツは、まだ有名なアウトドアブランドだから分かるにしても、下がジャージ姿と言うのは、あまりにもダサいと言われても仕方がないかも知れません。
 しかし私はそんなことは気にもとめていませんでした。他の人にどう見られようと関係ない。
 山登りやクライミングをする服装なんてどうでも良かった。
 
 
私にとって大切なのは、服装ではなく登ることだったのです。

 ジャージを選らんだのは、ただ単にその時持っていた服装で運動できる服装、乾きやすい服装はどれかとなると、ジャージしかなかったのです。
 もちろんお金を出せば、クライミングパンツも購入することもできました。
 しかし、私はお金を出してクライミングの服を買うぐらいなら、そのお金で、一日でも長くヨセミテに滞在する事を選びました。
 私にとって大切なのは、服装ではなく、一日でも長くクライミングをすることだったからです。
 
 
 富士山強力として冬の富士山を登っていた格好は、上下がモンベルの雨具、手袋はモンベルのアウター手袋でした。
 モンベルの雨具の上下は、雨が降ると間違いなく吸水するお古でした。また下山時にいつも尻セードをするので、毎回ガムテープでお尻を補修していました。数ミリほど厚さを増したガムテープのお尻は、異様な服装でした。
 手袋は、富士山の強風に飛ばされないよう、いつも手すりを持って登っていたので、アウターは登る度に破れてしまいます。
 こちらもその都度、ガムテープで補強しておりました。一見すると手袋なのかガムテープの塊なのか分からない代物でした。
 赤岳鉱泉辺りで、うろうろしていたら全ての人の目をひくほどの身なりであったはずです。 

 しかし、わざわざ仕事の為に毎回、富士山用の手袋を新調していたのでは、いくらお金があっても足りません。
 まして登山の装備です。お店に並んでいるものはどれも目が飛び出るほど高い。
 だから何とか工夫してお金をかけずに登れる方法はないか、知恵を絞るしかなかったのです。
 
 多少古かったり、ぼろかったりしても知恵を絞り工夫すれば、使えるものもあるはずです。
 そしてそこで浮いたお金は、遠征やクライミングの旅費に費やすのです。
 そうやって私は、ずっと登山やクライミングを続けてきました。

 登山やクライミングは、それ専用の装備がないとできない部分もありますが、しかし、全てが全てそういう訳ではありません。
 うまくすれば既存の装備で登ることができるかもしれません。
 そしてそうやって工夫した装備で、登山に向かうのもまた登山の楽しみです。
 装備や道具が古くてもいいじゃないですか。
 アウターに継ぎ接ぎがあっても構いません。
 そうやって道具を大切にしながら、新しく購入するはずの装備の代金を大好きな登山へ出かけるためのお金に充当しているんだな。この人はそれほど山登りが好きなんだなと私は見ています。

 私の友人は、10年間着ているアウターで、湿った雪で苦しめられる黒部横断に来ておりました。
 もちろん毎年念入りに、アウターのケアをしているからこそできた事ですが、私はそんな彼を見ながら人間として何と知的でカッコいいのだろうかと感激しました。

 私は、厳しい自然環境の中で、それでも必死に山に登ること、重荷を担いで自分で決めた目標まで歩き通すこと、あるいは登ること、そんな人間の必死の行為に感銘を受け惹き込まれたのです。
 大自然の素晴らしさとそこで活動する人間の内面に惚れたのです。

 たとえ服装がぼろくても、汗や泥にまみれていても、それでも必死に山登りを続けている人間、頑張っている人間を見るとカッコいいなと思うのです。
 人間として美しいなと思うのです。
 
 
 
服装がダサくても、格好悪くてもいいのです。
 大切なのは、断じてそこではないのです。




風のお話  その2  

 風にまつわるお話の続きです。

 
風の流れは、水の流れのように
 
 風の流れや強さを考える時、山の地形が大きく影響します。
 
 風の流れを考える時、水の流れを想定してもらえると分かりやすいですね。
 たとえば八ヶ岳の横岳西壁(赤岳鉱泉側から見た山)、もし硫黄岳から赤岳山並みに、西側から大量のお水を流すとどうなるでしょうか。
 水は流れやすいところと流れ難いところが生まれるはずです。
 流れ難いところの水は、必ず流れやすいところに逃げるように集まるはずです。
 そして当然流れやすいところの水は、水の流れが強くなる。
 流れ難いところの水は、流れそのものは弱かったり、流れていたとしてもそれほどの水量はないはずです。
 
 実は、風も同じ。

 水の流れと同様に風が通り抜けやすい所と、そうではない所とでは、まるで風の強さがまるで違うのです。
 

 例えば硫黄岳から赤岳にかけての縦走路ではどうなるか。
 一般的に、縦走路を見た場合、多くの方が急峻な斜面を持つ横岳から赤岳にかけての縦走路を心配されるのでは、ないでしょか。
 しかし、私の場合は違います。
 むしろ硫黄岳から横岳までの縦走路の方が、風でははるかに心配なのです。
 やはりそれは地形によるものです。
 硫黄岳から赤岳にかけて真横から水を流した場合、最も水の流れやすいところは、急峻な斜面を持つ横岳周辺ではなく、なだらかな傾斜の斜面が稜線まで続いている硫黄岳山荘周辺が、もっとも水(風)が流れやすい(水が集まりやすい)場所となるからです。
 加えてそういう場所には、流れやすい所を求めて水が集まって来るのと同様、風も集まってくるのです。そして特筆すべきは、硫黄岳山荘は、硫黄岳と横岳から見ると鞍部(コル)のところに存在し、より水(風)が集まりやすい(流れやすい)環境なのです。そして遮る障害物が乏しい。
 だから硫黄岳から赤岳の稜線で、私が最も風に注意するのは、稜線でも低い場所にあたる硫黄岳山荘周辺なのです。


 八ヶ岳でバリエーションクライミングへ出かける時はどうでしょう。

 例えば、横岳に突き上げるような形で聳える小同心クラック。
 あそこに真後ろから風を吹かせるとどなるでしょうか?
 当然風は吹きます。しかし、岩峰のような形状になっている事、小同心の下の形状が尾根状になっていることも考えると、少なくとも風が集約されて、実際に吹いている風よりも強くなることはない。むしろ風は逃げるように岩場を通り過ぎて行く形状であると私は考えています。
 では赤岳主稜はどうか。
 赤岳主稜の場合、地形を見ると一定の傾斜が山の斜面を競り上がるように山頂まで続いています。
 主稜と言うからには、当然尾根状にもなっていますが、ちょっとした起伏でしかありませんので、実際に吹いている風に加えて、下から逃げ場を探して吹き上げてくる風も加わって、より強く感じるのではないでしょうか。
 *但し赤岳主稜の場合、背後に阿弥陀岳の存在も忘れてはいけません。
  
 
 実際に、風を同時に計測したことはございませんので、結論には至りませんが、私はそういう視点も入れながらプライベートのクライミングやガイド登山を行っております。

 *また今回のお話は、ある一定方向に向かって吹く風のお話であることも忘れないで下さい。
 



風のお話  

 風のお話です。

 その昔、富士山で強力の仕事をしておりました。
 強力とは、富士山頂に気象庁の気象観測測候所があった時、そこで勤務される職員の方々に食料や生活雑貨などを届けるお仕事です。
 季節は冬。
 途中まで雪上車で登り、大体4合目あたりから荷物を背負って届けに行きます。


 登山の際に、登るか登らないかの判断は、風力と風向がひとつの目安でした。

目安 風向きと風力
 
 私たちが登るのは、御殿場口。風を遮るもののない富士山では、風向で風から受ける影響は、大きく異なります。
 御殿場口を直接吹き抜ける風向は、弱くても要注意が必要です。それとは逆に、裏側から吹いてくる風(体に直接当たらずに回り込んでくる風)は、強風でもそれほど注意は、必要ないのです。

 ・御殿場口に直接吹く風は、風速14m以上なら中止。13m台はGoサインですが、ちょっと緊張します。
 *14m以上だと、立って歩けません。風に飛ばされて宙を舞うことはできますが。

 ・裏側から回り込んでくるような風なら、風速20m前半でも歩けます。
 *風速20mでも体に直接当たる時には、10m前後まで弱まっているからです。

 雲ひとつない晴天の時でも、風のある時には登らずに待機していた時もありました。

 ガイド登山の際は、いくら強風の予想が出ていても、目安にはしても、その数字だけを鵜呑みにして中止にすることはありません。
 特に、富士山のように独立峰でなく、いくつかの山の連なりがあるような山なら尚更です。
 八ヶ岳も同様です。
 
 尾根上を歩いていれば、風の強いところや弱いところが、地形の変化で出てくるはずです。
 うまくそれを利用できれば、ぎりぎりの強風でも登ることができるはずです。





ピッケルとストック

 黒部横断登山でのお話です。
 黒部横断の前半は、大谷原から赤岩尾根を登り鹿島槍(山頂直下を黒部側にトラバースしたので山頂には立っていません)を越えて黒部川におりました。
 

 大谷原から鹿島槍山頂直下まで、私たちががピッケルを使用したのは、この行程の僅か5パーセントにも満たない距離だったと思います。
 そのほとんどの行程で使用したのはストックでした。
 

     私がピッケルを使用する基準は以下の通りです。
        ・滑落する危険のある箇所
        ・急斜面
        ・技術的に難しい箇所など
        *上記以外の所では、ストックを使用します。


 ピッケル使用した箇所は、赤岩尾根から稜線に合流する直下の僅かな急斜面と鹿島槍の山頂直下の硬い斜面だけでした。
 それ以外は、全てストックを使用しました。
 なぜならストックの方が、体力を使うことなく楽に登ることができるからです。
  

 
「雪山はピッケルで!」なんて言うのは、固定観念でしかありません。


 重荷を背負ったり、ラッセルしたり、普通に雪道を歩く時などは、ストックやピッケルを杖として使った方が、間違いなくスムーズです。そして何より力をセーブしてより楽に歩けるのです。
 ストックやピッケルを杖にしないといけないようなバランス感覚、筋力では、雪山は安全に歩けないと言う人もいますが、それは重荷を背負って不安定な雪面を歩いたり、胸を突くようなラッセルをした経験の無い人間の言うセリフです。
 その違いは歴然です。
 黒部横断もストックがなければ、1.5倍は無駄に力を浪費したはずです。
 
「雪山だからピッケルが必要」なのではなく、「ピッケルはどういう所で必要なのか、どういう役割があるのか」をまず考えて、私は使い分けながら行動しています。


 私が冬山へ行く際は、
ストックとピッケルを適材適所で使い分けます
 登山と言うものは、持久戦です。
 ピッケルよりもストックの方が楽な時は、ストック重視で登り、体力を温存します。
 温存した体力は、危険な箇所や技術的な難しい箇所、強風吹きすさぶような所で使ったり、より登山を長い行程に設定したりもします。
 少なくとも私は、そういう戦略的イメージを持ってストックを意識的に使っています。


 ガイド登山の際も同じです。
 体力的に不安のある方や試してみたいと言う方には、積極的にストックをお使い頂いております。そしてピッケルとの違い、ストックの有効性などもお話しています。
 その反面、ストックで十分なところであっても、お客様の練習のためにピッケルを使用して頂くこともございます。これはあくまでもお客様個人個人の体力や技術を見極めながら使い分けて頂くようにしています。

 赤岳鉱泉から出発し急斜面でピッケルに切り替えるまで、ほんの僅か1時間程度の行程でもストックを使用することをお勧めしたりします。
 なぜならお客様は雪山歩きの初心者です。私たちが想像するよりも雪に足をとられたりして体力を使います。それは普段山慣れた私たちから想像出来ない程だと思います。登山そのものの目的をどこに設定するかにもよりますが、山頂をひとつの目的として設定するなら、体力に不安のある方は、僅かの行程でもストックを使って体力の温存に努めて頂くきます。
 そして繰り返しになりますが、温存した体力は、厳しい箇所で使って頂くのです。
 
 
  
登山の際に、ストックバンドに手首を通すことは、私の場合ほとんどありません。


 なぜなら傾斜に合わせて、持つ箇所を変えるからです。
 特に上りの際は、傾斜に合わせて目まぐるしく持つ箇所が変わります。時に急傾斜の場合は、地面から40センチ程度のところ持つことも珍しくありません。
 この時に、ストックバンドに手を通していると、持ち替えができなかったり、あるいは手首に通したままだと、急傾斜になった際、必要以上に手を高く上げないといけない時があります。
 だからストックバンドに手首を通すことはないのです。
 落とした時のリスクですが、これは落として滑り落ちていくような箇所では、私はピッケルを使用しているので、落とすリスクもありません。


 一般的に、ストックは登りの時は短めに、下りの時は長めにします。それは突く箇所の違いによるものです。
 登りは斜面に対して上部に突きバランスを保ちます。
 下りは、前方に突くので、自分が立っている位置よりも下側に突くので、長め設定になるわけです。

これはプラスティック?タイプ
これはスポンジ?タイプ
僅か1時間程度のラッセルで、雪が付着し凍り付いてしまいました。(3月阿弥陀北西稜にて)

 ストックの取っ手の部分が、スポンジみたいな素材でできているタイプはお勧めしません。


 スポンジタイプは、表面がザラザラしている為に、激しいラッセルを一日すると、取っ手の部分に雪が団子状になって付着する時がよくあります。そしてそれが取れ難いのも、また厄介なのです
 これは八ヶ岳の赤岳のように、ラッセルがなくても山頂に立てるコースでは、雪に触れることもあまりないので、気にならないと思いますが、雪の多い激しいラッセルを要求される所では、暖かい手袋で取っ手の部分を持つと、当然雪が解けてスポンジ部分につきやすくなります。
 そしてそれが雪だるま式に大きくなることは珍しいことではありません。
 ストックを持っているのか、雪達磨を持っているのかわからない時があります。(しかも手袋が雪達磨に触れて冷たい!)
 だから私はスポンジ状の取っ手のストックは使用せず、プラスティック?のような素材でできた取っ手のストックをいつも愛用しています。




2本指ミトングローブ

 2011年年末から2012年年始にかけて、黒部横断16日間(行動日は13日間)の雪山登山へ出かけました。 
 ヘリテイジ・オーバーグローブを2セットとミトン3本指グローブを1セット使用しました。


  (注)黒部登山、一日の行動概要は以下の通りです。
  ・6時ラッセル開始。
  ・15〜16時頃、テントが設営できるサイズの雪胴作り開始。(これはラッセル以上に、雪に触れます。)
  ・クライミングやユマール、ロープ操作もこの手袋で行いました。
  ・停滞日は3日間ありました。実質行動したのは13日間と言うことになるでしょうか。(確か)


 インナーグローブを一枚目に使用し、ヘリテイジのオーバーグローブを2枚目に使用、3枚目にミトンの3本指を使用。
 つまり、3重構造で使用した訳ですが、最初は2重構造で、行動しておりました。最初から三重構造でやっていれば、おそらくヘリテイジのオーバーグローブは、1セットで16日間通すことができたと思います。
 もしこれが、皮の手袋だけを携行していたなら、新品が10セット以上あっても全く足りなかったはずです。
 皮製品は、水を吸うとテントで乾かすのに、時間と燃料が膨大に必要となります。
 その一方で上記のグローブは、もちろん使用すれば濡れますが、食料や飲み物用の水作りの際に、ほぼ乾かしきることができるので、16日間で、実質1セットのみの使用で済んだ訳です。(もちろんそれでも予備手袋は持って行っています。)


 3本指もいいですが、ドラえもんの手のような2本指の手袋は、それ以上に良いですね。
 まず指を大きく袋状に包み込むので暖かい。
 ラッセルしても裁縫箇所、縫い合わせ箇所が少ない分、雪が手袋から落ちやすく、ラッセルや雪胴作りが全く気にならない。
 5本指の上からでも、着脱が容易なので、扱いやすさも魅力です。


 そのドラえもんのような手袋ですが、こちらはカモシカスポーツのヘリテイジ・2本指ミトングローブがお勧めです。
 手の平の所に、皮が施してあったりするものは、お勧めしません。
 革が水を含んだり、皮の裁縫部分がハードに使うと解れて、そこに雪が付いたりします。
 とにかく一枚の生地を縫い合わせただけのシンプルな作りが、実は非常に良いのです。
 また素材にも注意して下さい。
 ゴア素材は良いですが、2レイヤーの新素材は蒸れて中の手袋が濡れます。


 最近私のガイド山行では、お試し手袋として、この2本指ミトングローブを2セット準備しております。
 そして実際に興味のある方には、試して頂いております。
 赤岳登山、バリエーションの阿弥陀北稜(最初から最後まで、岩の部分もミトンで)、赤岳から硫黄岳の縦走もこれで登って頂きました。
 

お客様の使用された感想は、
 ・思った以上に、操作性も気にならない。
 ・ピッケルも十分持てる。
 ・暖かい。
 ・皮の時と違って濡れを感じがしないから、思い切って雪に手を突っ込める。
 ・一枚生地だから雪がすぐに手から落ちる。
 ・手袋が長めに作ってあるので、激しく動いても手首から雪が入ってきたりする心配がないく、思い切って使える。
 ・他の革製品に比べて、安いですね!
 ・これこのまま売ってもらえませんか!?
と言うものでした。


ただ、それとは逆に

 ・やっぱり5本指よりも、ちょっと操作しにくかった。
 ・カラビナが扱い難かった。
と言う感想も頂きました。


私の感想
 ・ラッセルや雪胴作りは、長期雪山山行では、この2本指がお勧めです。
 ・八ヶ岳登山も十分メイングローブとして使えます。技術的に難しいバリエーションは別ですが、初級バリエーションなら十分登れます。
 ・操作性は5本指よりも劣りますが、もし使いこなすことができたなら雪山登山では大きな武器になるはずです。
 ・革製品よりも格段に安いのに、それでいて雪山登山では頼りになると感じました。
 ・5本指に比べて暖かいです。
 ・5本指の上から簡単に着脱できるのも魅力です。
 ・テントでも乾かせるので、実用的と言えます。
 ・10日以上の連続したテント山行で、この手袋を1セットしか使用しないというのは、驚異的なことです。
 ・手馴れた人間は、これでロープ操作を始め、クライミングもやってのけます。
 ・長期雪山登山で使用する際は、手袋修理セットの準備も忘れてはいけません。
 ・1セットあれば、寒い時、ビバークなどの危急時、雪洞を掘らないといけない時など、何かと役に立ちます。本当は勝負手袋として十分存在感がありますが、もしいきなりこの手袋では不安だと言う方は、予備手袋としてこれをザックに忍ばせておいてはいかがでしょうか。買って損はない確かな商品です。


*最後に、私は特別にヘリテイジと業務提携している訳ではございません。
 ただ素直にこれが実用的だと感じたので、掲載させて頂きました。
 これからも良いと思ったものを固定観念やメーカー、メディアにとらわれる事なく、掲載していくつもりです。
 そしてそれが、自然環境厳しい山を舞台に働く山岳ガイドとしての仕事であるとも考えています。
 安全で、楽しく有意義な登山を一人でも多くの人に実践して頂ければと願っております。